第22回「日本胎盤臨床医学会」大会開催
──「プラセンタ療法の新たなる夜明け」をテーマに──
日本胎盤臨床医学会(理事長・長瀬眞彦)主催の第22回学術大会が、2017年11月19日(午前9時30分〜午後5時)、福岡市中央区天神のエルガーラホールで開催された。大会実行委員長は原 靖氏(福岡・田川市:原クリニック院長)、同副委員長および総合司会は高嶋 雅樹氏(福岡・北九州市:高嶋クリニック院長)が務めた。 会の創設以来11年目の新たなステップへと進んだ大会への期待から、全国各地の医師・美容師・研究者・医療スタッフなど110名が参集し盛会となった。 大会テーマには「プラセンタ医療の新たなる夜明け」が掲げられた。前回の大会では「次の10年 ─The next decade─」をテーマに、プラセンタの信頼度を高めて更なる普及を図っていくことが謳われたが、今大会のテーマはその求めに応える第一歩が踏み出されたことを宣した形となった。 午後には、今大会の開催地がプラセンタ注射薬「ラエンネック」の開発者である稗田憲太郎博士(1899〜1971)が開発研究に取り組んだ縁の地でもあることから、ラエンネック製剤元である㈱日本生物製剤の協力を得て、久留米市の新工場「ラトリエール藤光」の見学が行われた。 そのため今大会のプログラムは午前中の5題のみとなったが、いずれの講演も専門性に富む興味深いものとなった。
招待講演ではヒートショックプロテイン(HSP)の研究と医療への導入の実体に加え、 健康の維持・増進、抗老化や美容のみならず、癌治療にまで活用範囲を広げようとしているHSPの想像を超える多機能性が膨大な資料と共に語られ、会場の賛嘆を集めた。 基調講演は、現在の主流であるプラセンタ注射の源流とされる「胎盤埋没療法」の数少ない実践者である演者により埋没療法の実際が具体的に述べられると共に、演者のクリニックにおける高い治療実績も明らかにされた。 基礎指定演題は、20〜30年前の段階で市場から姿を消してしまった3種類のプラセンタ注射薬の来歴と薬効を文献的に探索。それらが標榜していた「胃潰瘍・十二指腸潰瘍、消化性潰瘍、歯肉炎・歯槽膿漏」などへの効能までが製品と共に失われたことを惜しむという演者の言葉が会場の共感を呼んだ。 臨床発表は、今ではプラセンタ投与法の一つとして定着した「経穴注射(ツボ注射)」の依拠する医学は「東洋医学」ではなく「東方医学」とすべきことが述べられ、外国人にも理解しやすいように症例に応じたツボの取り方、効能効果の説明の仕方が示された。また、現在のツボ注射に関する研究レベルの高さを示す文献も紹介された。 ランチョンセミナーでは、今まで不完全だった美容皮膚科におけるプラセンタ製剤の美白効果の評価に関して、演者らが確立に成功した「メラニン重合評価系」が紹介された。これによって新しい製品開発が進むと共に、市井におけるプラセンタへの信頼度が高まることが期待されよう。
〔講演の演題及び演者〕
〔招待講演〕 | ヒートショックプロテイン(HSP)の魅力 ─その基礎と臨床─ HSPプロジェクト研究所 所長 伊藤 要子 |
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〔基調講演〕 | プラセンタ医療の歴史とプラセンタ組織療法(胎盤埋没療法) 原クリニック 院長 原 靖 |
〔基礎指定演題〕 | 姿を消したプラセンタ注射薬:過去に存在した効能効果 スノーデン株式会社 執行役員 大石 真己 |
〔臨床発表〕 | 東方医学とプラセンタ療法“Eastern Medicine and Placenta Therapy” 吉祥寺中医クリニック 院長 長瀬 眞彦 |
〔ランチョンセミナー〕 |
新しいメラニン重合評価系を用いたプラセンタにおける美白有効成分の同定 |
〔工場見学〕 | 株式会社日本生物製剤ラトリエール藤光 |