第20回「日本胎盤臨床医学会」大会開催
「プラセンタ療法─明日への道しるべ」をテーマに、医師ら100余名が参集
日本胎盤臨床医学会(理事長・長瀬眞彦)主催の第20回学術大会が、2016年10月9日(午前9時30分~午後5時)、岡山市の岡山国際交流センターで開催された。大会実行委員長は川口光彦氏(岡山市:川口メディカルクリニック院長)、同副委員長および総合司会は上田容子氏(東京:神楽坂ストレスクリニック院長)が務めた。会の創設以来10年を経た第20回という節目の大会であることから、全国各地から医師・美容師・研究者など100余名が参集し盛会となった。
大会テーマには「プラセンタ療法──明日への道しるべ」が掲げられた。当医学会が研究会として発足した10年前は、まだプラセンタ療法の何たるかを正しく認識しつつ、その医療面での可能性を見極め体系化していくことが大きな課題だったが、その取組みが注射剤において逐次進展するにつれて、大幅に流通量が増えてきたアンチエイジング用サプリメントや美容・美肌用外用剤が新たに研究課題に加わってきている。それに応じて当医学会ではサプリメントの臨床試験なども行ってきているが、今大会のテーマはそうした状況を反映していよう。
テーマに応じて今大会は、下記のように13題のプログラムが組まれたが、招待講演(渡邊氏)では健康長寿の基本となる栄養学の時代的変遷が、膨大な資料を基に語られた。また、基調講演(川口氏)は、10年にわたるウイルス性肝疾患のプラセンタ治療実績を中心に、一医療機関におけるプラセンタ療法の取組みの実際がつぶさに提示された。
「指定演題」では浜田氏(内科・消化器科)、河田氏(形成外科)、日比野氏(再生医療・眼科)が、それぞれの分野におけるプラセンタの積極的な使い方と効果の特長を具体的に披瀝した。
「基礎指定演題」では、製薬会社の第一線研究者(平野・小松・高橋・千葉の4氏)が、それぞれの社の主力製品に関する基礎研究を、重要な基礎資料を添えて解説した。
「臨床発表」は産婦人科(金子氏)と歯科(喜多嶋氏)におけるプラセンタの積極的使用例とその有効性が詳細に示された。
「総合討論」は下記の6氏によって「①プラセンタ治療の導入の仕方 ②プラセンタ治療を行う際に厳守すること ③効果のあった実例、使用に際して工夫していること ④胎盤供給に関して今後の問題点(婦人科の立場から) ⑤料金設定」について、実例を提示しつつ活発に論議が交わされた。
また「ランチョンセミナー」では高木准教授(消化器・肝臓内科学)が、悪玉とされている酸化ストレスが慢性消化器疾患や肝胆膵癌に対して功罪両面に働く実際を、動物モデルによるデータを元に興味深く解説した。
〔講演の演題及び演者〕
〔招待講演〕 | 覆る栄養学の常識 公益社団法人 生命科学振興会理事長 渡邊 昌 |
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〔基調講演〕 | プラセンタ医療──「晴れの国」から 川口メディカルクリニック 院長 川口 光彦 |
〔指定演題1〕 | 治療抵抗性糖尿病における肝臓病学的アプローチ ──鉄動態の是正と糖代謝改善の関連性 浜田内科消化器科クリニック 院長 浜田 結城 |
〔指定演題2〕 | 当院におけるプラセンタの臨床応用について 河田形成外科 院長 河田 真 |
〔指定演題3〕 | 再生医療の観点から考えたプラセンタ医療 Rサイエンスクリニック広尾 院長、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 特任准教授 日比野 佐和子 |
〔基礎指定演題1〕 | ヒト胎盤抽出物における癌細胞増殖抑制物質の単離・同定と肝癌治療薬としての可能性 株式会社 日本生物製剤 プラセンタ・アベニール研究所 所長 平野 栄一 |
〔基礎指定演題2〕 | プラセンタエキスの効果を動画で見る ──マクロファージ機能低下防止と線維芽細胞増殖促進 スノーデン株式会社 商品開発本部開発研究部 部長 小松 靖 |
〔基礎指定演題3〕 | プラセンタ(メルスモン®)の作用機序の解明(その3) メルスモン製薬株式会社 研究所所長 高橋 良樹 |
〔基礎指定演題4〕 | プラセンタエキスおよびエタノールアミンのアルコール性肝障害に対する効果の検討 クラシエ製薬株式会社 漢方研究所 製品開発第2グループ 研究員 千葉 殖幹 |
〔臨床発表1〕 | 閉経周辺期から始めるプラセンタ療法 医療法人いぶき会 針間産婦人科 院長 金子 法子 |
〔臨床発表2〕 | ブラキシズムと口腔疾患 きたじま歯科 院長 喜多嶋 洋史 |
〔総合討論〕 | テーマ:今後のプラセンタ医療について 司会:川口光彦(川口メディカルクリニック 院長) パネリスト:
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〔ランチョンセミナー〕 | 消化器慢性炎症・発癌に関連する酸化ストレスの不思議 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学 高木 章乃 |