第10回「日本胎盤臨床研究会」大会開催
医師、医療・美容・健康産業関係者が3.11被災地「松島」に参集
一般財団法人 日本胎盤臨床医学会(理事長・長瀬眞彦)主催の第10回学術大会が、2011年11月27日(午前9時30分?午後3時30分)、松島センチュリーホテル(宮城県)の会場に医師および医療・美容・健康産業関係者など60余名を集めて開催された。
今年(2011年)は胎盤医療の生みの親の一人である九嶋勝司教授(福島医大・東北大教授、秋田大学長を歴任)の生誕百年に当たるため、年初より九嶋教授ゆかりの地で「生誕百年記念大会」を開催する準備が進んでいたが、会場に内定していた松島センチュリーホテルは東日本大震災の津波で冠水。5ヵ月をかけて営業再開に漕ぎ着けた直後でもあり、今大会は全国各地からの参集者が胎盤医療を通じて先人や相互間の「絆」を確認し合う貴重な場となった。
大会会頭は山形淳氏(山形内科消化器科院長)、大会実行委員長は北野原正高氏(きたのはら女性クリニック院長)が務めた。仙台を医療活動の拠点とする両氏であるが、開会の辞で山田会頭は大震災に寄せられた各地からの見舞いに感謝を述べ、困難な状況下で改めて「温かい医療」の必要性を痛感した旨を述べた。また、北野原実行委員長は、大震災を通じて確かめ合った絆の輪を、今後のプラセンタ療法の更なる普及発展に活かしたいとの希望を述べた。
大平哲也准教授(大阪大学公衆衛生学)の招待講演は、多くの調査結果から「笑い」のストレス解消効果を立証する内容の濃いものであったが、至芸ともいえる話術の妙で会場には笑い声が絶えず、笑いの効用を実体験する場となった。
特別講演では、吉田健太郎氏(吉田クリニック院長)が九嶋勝司教授の胎盤医療に於ける業績をたどるとともに、ローヤルゼリーの普及に尽力したり精神世界の研究にも取り組むなど西洋医学一辺倒でなかった人柄を紹介。併せて九嶋教授が専門とした更年期障害に対するプラセンタ療法の活用法と実績を、症例を挙げながら紹介した。
実際に多くの診療科で用いられるところに特徴があるプラセンタ療法であるが、今大会の研究発表も中医学、整形外科、歯科医療から各1題のほか、基礎研究分野からも1題の発表が行われた。
〔講演の演題及び演者〕
〔招待講演〕 | 笑いと健康――笑いの心身への影響についてのエビデンス 大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学准教授 大阪府立健康科学センター 非常勤医師 大平 哲也 |
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〔特別講演〕 | 九嶋勝司先生と更年期障害 吉田クリニック 院長 吉田 健太郎 |
〔研究発表1〕 | 母体を制御する胎盤成分 microRNA スノーデン株式会社 執行役員薬粧事業部長 大石 真己 |
〔研究発表2〕 | プラセンタ療法――歯科医療への応用 熊倉歯科(新宿区) 院長 熊倉 正和 |
〔研究発表3〕 | 当院でのプラセンタ治療の実際 吉祥寺中医クリニック 院長 長瀬 眞彦 |
〔研究発表4〕 | プラセンタ医療の現状および未来への展望を考える――個人的意見として 清水整形外科クリニック 院長 清水 伸一 |