第11回「日本胎盤臨床研究会」大会開催
医師、医療・美容・健康産業関係者130名余を集め、公開討論会も
一般財団法人 日本胎盤臨床医学会(理事長・長瀬眞彦)主催の第11回学術大会が、2012年5月20日(午前9時30分?午後5時50分)、東京ステーションコンファレンス5階の会場に、医師・歯科医・獣医、美容・健康産業関係者など130名余を集めて開催された。
大会会頭は長瀬眞彦氏(吉祥寺中医クリニック院長)、大会実行委員長は熊倉正和氏(熊倉歯科院長)が務めた。 今回は招待講演が2題あり、桑田一夫教授(岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科)は「自己複製するタンパク質‘プリオン’の制御」を講演した。BSE(牛海綿状脳症)やCJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)の原因物質であるプリオンは、プラセンタ製剤の原料の安全性に関係するため専門家による科学的な説明が求められていたが、今回の講演はその要望に応えたものである。講演ではアルツハイマー病などの神経変性疾患やⅡ型糖尿病の病原、あるいは再生医療の他家幹細胞治療における危険因子としても近年注目されているプリオンの構造や機能に加え、その複製反応を抑える抗プリオン物質の開発研究の現状についても多くの新資料を使って報告された。
もう1題の招待講演はドンギュン・ソル教授(Donggeun Sul Ph.D. 高麗大学大学院医学科)が行い、胎盤抽出物(PE)が細胞や組織におけるDNA・脂質・タンパク質の酸化傷害に対して高い抗酸化能を示した研究成果が綿密な実験データを元に報告された。
吉田健太郎氏(吉田クリニック院長)による特別講演は、当研究会創設以来の5年間をプラセンタ医療の普及期とすれば、これからは基礎研究を更に深化させ、適切且つ効果的な用法を医療現場に浸透させ、多様な症例を蓄積していく実践と展開の時期であるので、関係者全てが一層真摯に対処していくべき使命を負うというと覚悟と抱負が述べられた。
研究発表はプラセンタ療法が多くの診療科で広く用いられていることを反映し、皮膚科、整形外科、獣医療から各1題ずつ行われた。
また、今回は初めての試みとして司会者と8名のパネリストによる「公開討論会」が行われ、各々の医院におけるプラセンタ療法導入の実際、具体的な医療効果、患者の反応などについて、会場の参加者も交えて1時間半近くにわたり意見が交換された。
〔講演の演題及び演者〕
〔招待講演1〕 | 自己複製するタンパク質‘プリオン’の制御 岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科 教授 桑田 一夫 |
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〔招待講演2〕 | ガンマ線照射およびベンゾピレン(BaP)によって誘導された
ラットの各種組織における酸化傷害に対する胎盤抽出物(PE)の影響 高麗大学大学院医学科 教授 Donggeun Sul Ph.D. |
〔特別講演〕 | 胎盤臨床研究会大会10回を振り返って 吉田クリニック 院長 吉田 健太郎 |
〔研究発表1〕 | まず使ってみようプラセンタ ――知らなかった効き方があり、医療に幅ができる 清水整形外科クリニック 院長 清水 伸一 |
〔研究発表2〕 | 胎盤エキス注射によるシミの治療 上野医院 院長 上野 正樹 |
〔研究発表3〕 | 動物におけるプラセンタの使用経験 鈴木動物クリニック 院長 鈴木 富吉 |
〔公開討論会〕 | テーマ:プラセンタ療法の可能性と、今後の課題 司会:北野原 正高(きたのはら女性クリニック 院長) パネリスト:
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