第18回「日本胎盤臨床医学会」大会開催
爽秋の名古屋に医師、美容・健康産業関係者130名余が参集
日本胎盤臨床医学会(理事長・長瀬眞彦)主催の第18回学術大会が、2015年11月1日(午前9時30分〜午後4時30分)、名古屋市のホテル「名古屋マリオットアソシア」で開催された。大会実行委員長は上野正樹氏(長野市:上野医院院長)、同副委員長および総合司会は小早川裕之氏(名古屋市:小早川医院院長)が務め、参加者は130名を超えた。
大会テーマは「心(非物質)と胎盤組織(物質)との関わり方(相互作用)について」が掲げられた。この一見難解なテーマには、医療は単に病む肉体だけを診るだけでなく、患者の心理や社会的側面などの見えない要素も包括的に診る全人的医療でありたいという今日的課題に、プラセンタ療法はどう対処してきたかという問いかけの意味もある。一方では、プラセンタは幅広い分野で数多くの臨床効果が報告されてきが、有効性を証す科学的裏付けが乏しいとされてきたことに対する反論の意味も込められていよう。
そうした問題を根本に返って考えたいという要請に応えて、今回の招待講演は岸根卓郎名誉教授(京都大学)による「第二の文明ルネッサンス──量子医学の時代がやってきた」と題して行われ、誰もが一言も逃すまいと耳を傾けた。基礎となる量子論の説明は難解を極めたが、物体ではなく素粒子の波動性に着目する量子論によれば、世界は今世紀に入って以来、800 年前のルネッサンスに次いで第二の文明ルネッサンスを迎えており、医学の世界では従来の科学一辺倒の西洋医学に代わり、人間の精神性を重んずる新しい医学として心身一如の東洋医学の勃興期が始まっているという指摘は、厳格な予言のように会場に響いた。
また今回のテーマを別の面から見れば、胎盤が「胎児の生命」を育むように、プラセンタが健康を回復させる──つまり「見えるもの」が「見えないもの」を動かす不思議さに思いを寄せ、プラセンタの効能をしっかり再認識しようという呼びかけとも受け止められよう。その呼びかけに応えるかのように、今大会の5題の研究発表は、いずれもプラセンタの真価に迫ろうとする内容の深いものとなった。
研究発表1題目の上野正樹院長は、胎盤療法の歴史にも触れながら、その不思議でしかなかった胎盤の作用が科学的に解明されてきた経緯を述べ、今もなお効果の全貌がつかめないプラセンタの有効性を、成分や作用機序が十分にわからないという理由で無視しようとすることは不合理ではないかと訴えた。
研究発表2題目の西谷雅史院長(響きの杜クリニック)は、プラセンタを中心に医療を体系化することにより、非常に大勢の患者の喜びに包まれている自院の診療の実際を示しながら、西洋医学による通常の医療では果たせない統合医療の効果を説得的に述べて会場の共感を呼んだ。
研究発表3題目の大石真巳氏(スノーデン㈱)は、従来行ってきた「胎盤の機能と産生物質」解明シリーズの新たなアイテムとして「セロトニン」を取り上げ、科学的実験に基づく神経系に対する有用性の評価を丁寧に行い、プラセンタの有効性を立証する新たな糸口を示した。
研究発表4題目の天願勇院長(統合医療センタークリニックぎのわん院長)は癌の治療歴が長いが、未知の効能を内包するプラセンタに対すると同じ姿勢で、癌に対して樹状細胞ワクチン療法を行っている近年の経験を語ったが、「医師は患者の個別性を無視した“マニュアルドクター”になってはならない」と述べた言葉が印象的であった。
研究発表5題目は、ロシアの女性薬理学者であるO.A.グロモヴァ教授が行った。注射薬ラエンネックを用いた創傷治癒(皮膚再生)、鉄過剰症を伴う肝疾患の改善に関する自身の研究の他に、ロシア人医師たちによる肝臓学・免疫学・婦人科学領域におけるプラセンタの研究の現状が紹介され、ロシアに於けるプラセンタ熱の高まりを窺い知ることができた。また、今回は2題のランチョンセミナーが組まれて関心を集めた。
1題目の日置富士雄氏(㈱ダイヤ製薬)による「腸内細菌の乳酸球菌(EF-621菌)で腸管免疫を活性化」では、注目を集めている腸内細菌叢の中でもビフィズス菌などの桿菌に比して球菌の方が免疫活性が高く、中でもEF-621菌の死菌末を用いている自社製品の優位性を実験データを示して説明し、全国の医療機関で免疫療法に使われている実情を述べた。
2題目は熊谷美雪氏(㈱UTP美容部インストラクター)が「プラセンタ化粧品について」と題して自社製品の全容を示し、高い評価を得ている「PLACENTA DUE 100」「La PRECIA Series」の特性を解説し、興味深い販促材料も紹介した。
〔講演の演題及び演者〕
〔招待講演〕 | 第二の文明ルネッサンス ──量子医学の時代がやってきた── 京都大学名誉教授・南京経済大学名誉教授 岸根 卓郎 |
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〔研究発表1〕 | 胎盤エキス──動物種差と投与法、効果の差異の考察 上野医院 院長 上野 正樹 |
〔研究発表2〕 | 「プラセンタは赤ちゃんからのプレゼント─プラセンタに対する誤解を解く」 響きの杜クリニック 院長 西谷 雅史 |
〔研究発表3〕 | 「胎盤の機能と産生物質 ─セロトニン」 スノーデン㈱ 執行役員 大石 真巳 |
〔研究発表4〕 | 「がん免疫とプラセンタ」 統合医療センタークリニックぎのわん 院長 天願 勇 |
〔研究発表5〕 | Ability of placental medicine Laennec in various areas of medicine, point of view of pharmacologist (臨床薬理学者から見たラエンネック) Dr.Olga Alekseevna Gromova(オルガ・アレクシーヴナ・グロモヴァ) |
〔ランチョンセミナー〕 |
「内細菌の乳酸球菌(EF-621K菌)で、腸管免疫を活性化」 「プラセンタ化粧品について」 |